コラム

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2018.3.1 設計図面の2Dと3D、強みを活かした使い方を研究中

 全国各地の水処理施設や工場で使われている、エイブルフソー製のコンベヤ。こうした施設は立地などによって全体の構造が異なるため、 コンベヤもそれぞれの環境に合わせて設計・製造されています。サイズも規格もまったく同じというコンベヤは存在せず、すべてがオリジナル。そのため、オーダーメイド・スーツで お客様の身体に合わせた型紙を作るように、コンベヤもプラントごとの図面を作成することからスタートします。

 エイブルフソーでこうした図面の作成を担っている設計室は、2Dと3Dの2つのチームに分かれています。2Dとは2次元のことで、 従来の平面図を担当。パソコンで図面が作成できる『オートCAD(キャド)』という設計ソフトを主に使用していますが、いざとなれば手描きの図面も描けるほどの経験豊富なベテラン設計者たちが、バリバリ活躍しています。

 いっぽう3Dチームは、『ソリッドワークス』というソフトを使用して、図面を3D(3次元)で作成します。2Dと3Dによる図面の違いは、実際に見ていただければ一目瞭然!

 左側のモニターが2D、右側が3Dの図面です。2Dで作成した図面を3Dで再現することで、コンベヤがどのような形状になるのかを立体的に把握できますし、 操作によって360度どの角度からも見ることができるので、お取り引き先からも「大変わかりやすい!」と評判です。

 エイブルフソーでは、約5年前からこの3次元CADを積極的に取り入れてきました。しかし、設計はすべて3Dにしたほうがよいかというと……。実はそうではありません。

 「実際にコンベヤを作ってみたら、サイズが合いませんでした」などというミスは絶対に許されませんから、複雑な構造の図面ほど、3次元CADでの確認は重要になります。 ところがその反面、コンベヤが大きくなればなるほどデータの容量が重くなるため、処理に時間がかかるという難点も……。「ここの部分を少し短くしてみて」「この部品を変えてみて」 などとリクエストがあっても、すぐには対応できません。

 また、基本的にすべてのパーツが表示されるので、「手前の部分だけ見たいのに、奥のパーツまで透けて見えてしまい、かえってわかりづらい」といった場合もあります。 もちろん線を非表示にすることはできますが、結果的に、そのための作業が増えてしまうのです。

 その点、2次元CADによる図面ならば、突然の変更でも作業の負担が比較的少なくてすみます。プラントでどのようなコンベヤを作るかという段階においては、 変更や融通のきく2次元CADのほうが、メリットは大きいと言えるでしょう。

 ベースとなる図面を、豊富な知識とノウハウを持つ2Dチームが作成し、それを3Dチームが立体化・検証する。この使い分けによって、エイブルフソーではそれぞれ の強みを最大限に活かしています。3Dチームには現在、4名の若手社員が在籍。2Dチームのベテラン社員から、ものづくりの真髄を教わりながら、技術者としてたくましく成長しています!